上智福岡中学高等学校

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2019年5月16日

思索の時間 「何に力を注ぐべきか」

上智福岡では毎日昼休み終了後に15分間「思索の時間」を実施しています。イエズス会のExamen(毎日の振り返り)をモデルとして、生徒たちには毎日の自分の行動や生き方を見直してもらっています。この「思索の時間」では自分自身を振り返るきっかけとして、毎日放送で担当の先生が短いお話をしています。その先生たちのお話を載せています。

 

今日は「何に力を注ぐべきか」ということについてお話します。皆さんは、「ニーバーの祈り」を知っていますか?これは、アメリカの神学者ラインホルド=ニーバーの祈りの言葉ですが、まずはこの祈りの一部を紹介したいと思います。

God, give us
serenity to accept what cannot be changed,
courage to change what should be changed,
and wisdom to distinguish the one from the other.

Reinhold Niebuhr

 

「神様、私にお与えください。自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを、変えら

れるものを変えていく勇気を、そして2つのものを見分ける賢さを。」

 

今日はこの言葉からヒントを得て、自分をコントロールする事についてお話します。皆さんにとって、「自分の力で変えることが難しいものとは何ですか?」。次に、皆さんにとって「自分の力で変えられるものとは何ですか?」。一人一人に聞きたいところですが、それは難しいので私の考えをお話しします。

私が思う、「自分の力で変えることが難しいものとは」、まず「原理」です。例えば、普通の空間でものを落とせば、地面に向かって落ちていくということは、私がどんなに気合いを入れて声を出しても変わりません。どんなに数学の勉強をしても1+1が3になることもありません。これが自分の力では変わらないものだということは皆さんも納得がいくと思います。

また、「他人」を自分の力で変えるということも非常に困難なことです。皆さんは友達や先生、保護者に対して、「なんで自分の思い通りに動いてくれないのか?」「いろいろ工夫はしているつもりなのになぜ変わってくれないのか?」と腹立たしさを覚えたことはありませんか?私はあります。特に新しいクラスになって間もないこの時期であれば、中学一年生をはじめとして友達づくりで悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

しかし、ここで私が気をつけて欲しいと思うことは、変えられないものにエネルギーを使いすぎて、他のことに悪影響が出てしまうことです。例えば、「部活の後輩が自分の思い通りに動いてくれないことにイライラして、自分の練習に集中できない」「友達が自分のことをどう思っているのかが気になって勉強に集中できない」といったことがその具体例です。

これは、「どうにもならない他人はあきらめて、自分のことだけしなさい」ということではありません。大切なことは、ニーバーの言葉を借りれば、「自分に変えられないものを受け入れる落ち着き」を持つことではないでしょうか。「変えることが難しいこともある」ことをいったん受け入れて、冷静になり、力を注ぐべきところに力を注ぐということを意識してみてください。力を注ぐべきところというのは、自分で変えられるものです例えば、部活の練習。野球でヒットを打ちたければ、正しいフォームを学んで、筋トレで力をつけて早い打球を打てるように努力する。勉強も同様です。勉強ができるようになりたければ、できる人からやり方を学んで努力する。これらは、自分の力で変えられるものです。

幸い生徒の皆さんが今向き合っているものは自分の力で変えられるものが多いのではないでしょうか?これは私の思い違いかもしれませんが、年を重ねるごとに自分の力では変えられないものと向き合う機会が多くなるような気がします。しかし、その時にそれが「自分の力では変えられないもの」と思うか「自分の力で変えられるもの」と思うかは、それまでその人が自分の力で変えてきた経験によると思います。

今日の話で伝えたかったことは、この世には「変えられないもの、変えることが難しいこと」も確かにあるということ、そしてそれを受け入れる落ち着いた心を持つことが大切であるとともに、自分の力で変えられるものについては、それを変えていく勇気をもってほしいということです。私は、これが自分をコントロールし、最大限のパフォーマンスを発揮するために大切なことだと思います。明日からはじまる中間考査の結果は、自分の力で変えられないものでしょうか?それとも変えられるものでしょうか?答えは「変えられるもの」ですよね。全力で向き合いましょう。