上智福岡中学高等学校

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2024年3月25日

3学期終業式 校長訓辞

 皆さんおはようございます。少し前までは朝家を出るときは真っ暗だったのに、ずいぶんと日の出が早くなりました。梅が散り、木蓮が満開を迎え、桜の開花の時期が近づき今年度が終わろうとしています。この一年はいかがでしたか。ともに振り返ってみましょう。まず、今年の学校目標は「アジェレ・コントラ(Agere Contra)」でした。イグナチオ・デ・ロヨラがイエズス会に入った若い会員がより他者のための人となれるように「反対に振る舞え」「反対のことをせよ」とよく声掛けした言葉です。去年の4月の始業式には、この標語を使って、この一年の中で多くの自分が輝ける場所を見つけること、そして全員が気持ちよく過ごせる学校づくり、あるいはよりよい世界づくりのためにできることを見つけようと皆さんにお話ししました。どれだけ見つけられましたか。今回優等賞、優良賞、皆勤賞を取った皆さんは、楽をしたい誘惑にかられたときに幾度となく「アジェレ・コントラ」と自分に言ったことでしょう。また、日々の勉強や部活動に頑張った人も「そんなの無理」とか「面倒くさい」といった成長とは逆向きの力に曝された時、それに逆らって「アジェレ・コントラ」をしたことでしょう。自分の限界を乗り越え一回り成長できた瞬間、皆さんは輝いていたはずです。
 ところで、今日をもって、この一年生活を共にしたクラスとはお別れになります。このクラスの中で2つ目の気持ちよく過ごせる学校づくりには貢献できたでしょうか。私たちは人の中でしか、人といい関係が築けるコミュニケーション能力は伸ばせません。この一年間クラスのどれだけの人といい関係が築けたか周りを見て数えてみましょう。もともと相性のいい人とは仲良くなれるものです。しかし、相性が合わないと感じる人どう付き合うのか、ここが成長の分かれ目です。「あの人無理」「あいつ、むかつく」「意味不明」と言っているだけではコミュニケーション能力は身に付きません。自分が作っている壁を取り払わなければなりません。まして「無視しよう」「いじめよう」と言った分裂にむかう後ろ向きな力に身を委ねてしまえば、コミュニケーション能力の成長どころか退化です。このようなときに「アジェレ・コントラ」「反対に振る舞え」と自分に言えたでしょうか。好きにはなれなくても、敬意をもって人と付き合えるようになったなら、それはコミュニケーション能力のものすごい成長でしょうし、気持ちよく過ごせるクラスづくりに貢献できた証拠です。「アジェレ・コントラ」が必要ことは、私たちが気配り、目配り、思いやりを示せる人に成長するうえでも同じです。人のために何かをするのは骨が折れる割に報われません。掃除一つとってみても、いくら苦労してきれいにしてもその苦労は大抵気づかれません。困っている人を見かけても、助けるのは億劫だったり、恥ずかしかったりで、損なことに思えます。ですからえてして「さぼりたい」「無視したい」という思いにここでも曝されます。この一年、掃除にせよ人助けにせよ、何かできた人は「アジェレ・コントラ」「反対に振る舞え」と自分に言って、この逆向きの力を跳ね返したことでしょう。全員が気持ちよく過ごせる学校づくり、あるいはより良い世界づくりのためにたくさんのことができた一年でしたでしょうか。
 最後に、締めくくりとして一年間を無事に終えられることに感謝しましょう。目をつぶってそれを支えてくださった家族、先生、友達一人一人の顔を思い浮かべてください。その方々に心の中でありがとうと言いましょう。至らないことをしてしまった相手にはすみませんでしたと言いましょう。そして、このすべてを支えてくださった神様に感謝し、来年度もたくさんの恵みを自分にも、先ほど思い浮かべた人たちの上にもくださいますように祈り願いましょう。では、4月に元気な皆さんにまた会えることを楽しみにしつつ、これで2023年度を終えるにあたっての話を終わります。