上智福岡中学高等学校

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2025年7月22日

1学期終業式 校長講話

  皆さん、おはようございます。6月の終わりには梅雨が明け、いつもより夏が早く来たためなのか、4月7日に始まった1学期があっという間に過ぎたように感じられます。皆さんは楽しいこともそうでないこともいろいろあったと思いますが、今日まで毎日よく頑張りましたね。今学期を終えるに当たり、これまで皆さんは先生との面談で、この3カ月半の授業や課外活動、様々な行事を通してなされた勉強面や生活面での成長を確認し、2学期に向けた目標を立てたことでしょう。終業式の今日は、私の話とこの後のポートフォリオで心を落ち着けて4月からの日々を振り返り、上智福岡生らしさの面で自分がどのように変化したのかを確認し、言葉に起こしてみましょう。多くの変化は気づかないほど小さなものかもしれません。しかし、私たちはなかなか急には変われないことを思えば、小さい変化こそが実は大きな成長なのです。自分のその大切な成長を逃さず確認してください。


 では、今学期は同級生や先輩、後輩、先生方とのかかわりの中でどれだけ、「喜ぶ人とともに喜び、泣く人とともに泣く人に」なれたか確認してみましょう。私たちは人を線引きすることなく、誰に対しても自分から隣人・友となり、誰をも自分のように愛せることを目指しています。どれだけ私たちが喜ぶ人とともに喜び、泣く人とともに泣く人になれたかを確認することで、どれだけ隣人を自分のように愛する人になれているかを測ることができます。

 まず、喜ぶ人とともにどれだけ喜べたでしょうか。学校の中で人が喜ぶ様々なシーンがあったことでしょう。誰かがうまく発表ができたとき、いいプレーができたとき、テストの結果がよかった時、願いがかなったとき、悩みが解決したときなど、そんなシーンに居合わせた時のことを思い出しましょう。その人の喜びに何とも感じなかったり、時には苛立ったりねたみを感じたりした時、まだ自分は人を友とそうでない人とに線引きしていることに気づきます。愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱きません。(コリント一 13.4-5)苛立ったりねたむのをやめ、自分の他者への愛をこのように寛く深くさせ、誰とも共に喜べる隣人・友になるように努めましょう。


 次に、泣く人とともにどれだけ泣けたでしょうか。周りで泣いていた人がいたら思い出してみましょう。どんな痛みで泣いていたのでしょう。悲しいこと、辛いこと、不安、孤独、絶望にさいなまれることがあったのでしょうか。それがわかれば共感しやすいものですが、実際には心の痛みは目には見えませんし、さらに中高生ともなればなかなか人前で泣くわけにはいきません。心で泣くのです。ですから、泣く人とともに泣くには心の痛みが見える目、つまり心で泣いているときのかすかな表情やしぐさの違いを見る目配りが必要です。それと同時に人の痛みをともに痛むことのできる心がいります。実は英語には人の痛みや悲しみへの思いやりをさすぴったりの言葉があり、それはcompassion、conともにpassion痛むという語です。これを日本語に訳すと同情心、哀れみとなり残念ながら「ともに痛む」ニュアンスが薄らいでしまいます。ともに泣くことに欠かせないこの目配りと、ともに痛む感受性compassionがどれだけあるのかを、泣く人とともにどれだけ泣けたかで測ってみて、強くしていってください。


 さあ、いよいよ明日から夏休み、手つかずの5週間と2日が始まります。中1は初めての夏休みです。中2はサマーキャンプ、中3はサマーティーチングプログラムや日本文化体験が待ってます。高1高2の皆さんはカンボジアスタディーツアー、オープンキャンパス、ボランティア、留学などさまざまな活動をする人がいると聞きます。高3生は行きたい大学、なりたい自分を明確にし、それに必要な学力と人間力をしっかりとつけてきてください。学期中にはできない経験をするまたとない機会に、健康と安全には十分気を付けて、一回りも二回りも上智福岡生らしく成長し、夏休み明け元気に学校に戻って来てください。一人ひとりにとり素晴らしい夏休みとなることを心から祈って終業式に当たっての話を終わります。