上智福岡中学高等学校

Weekly "Sophia Fukuoka" Information今週の上智福岡

  1. TOP
  2. 今週の上智福岡
  3. 校長講話
  4. 2学期始業式 校長訓辞

2024年8月26日

2学期始業式 校長訓辞

 皆さん、おはようございます。7月20日から始まった夏休みが終わりました。学校での夏季講座や部活は頑張れましたか。サマーキャンプでは仲間との絆は深まりましたか。STPや日本文化体験ではグローバルコンピテンシーが身に付きましたか。カンボジアや能登半島へ行った人たち、トビタテなどで留学したり、個人旅行をした人たちは世界観を変える体験ができましたか。勉強や読書を頑張ろうとした人は、目標をやり遂げられましたか。35日前の自分を振り返って、今の自分と比べてみましょう。何か一つでも成長したことを見つけられたならいい夏休みを過ごせたのだと思います。
 さて、始業式に当たり今年度の学校目標を確認します。それは「息をするが如く隣人になれ」ですね。一学期の終業式では、これを行う上で一番大切な点は、「この人は隣人、あの人は違う」と人に線引きをするのではなく「どんな人であれ私は隣人になる」、つまり人への根本姿勢が「条件付きで愛する」のではなく「無条件で愛する」と決めることだとお話ししました。イエス様は弟子たちに「私があなた方を愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」(ヨハネ13.34)と言われましたが、聖書の中ではこの愛には、まさに無条件の愛を表すアガペーというギリシャ語が使われています。「友のために命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」(ヨハネ15.30)ともおっしゃっていますが、これもアガペー、無条件の愛です。
 では、どうすれば私から隣人になり、無条件で人を愛せるのでしょうか。フランシスコ教皇が皆さんのような若者に教えているそのヒントを聞いてみてください。「あなたよりもひどい境遇にある若者のために、涙を流すことを覚えてください。思いやりややさしさは、涙によっても表現されるのです。涙が出ないというならば、他者の苦しみに涙できる愛を主に祈りなさい。涙が流れるならば、あなたは相手のために、心から、何かをすることができるはずです。」(『キリストは生きている―若者へ、そしてすべての神の民へ76』2019)このようにフランシスコ教皇は皆さんによびかけています。今日からまた学校生活が始まります。その中でともに涙を流すことを学びましょう。学校の中でつらい境遇に置かれて、多くの場合心の中で涙を流している人がきっといるでしょう。その時にその人とともに涙を流せる人になりましょう。あるいは、うちの学校ではどこにもましてこの世界のありのままを皆さんに教えます。きっと飢え貧しさ、児童労働、虐待、差別、紛争といった不条理に涙を流している若者に沢山出会うでしょう。その時にその人とともに涙を流せる人になりましょう。涙が流れるならば、あなたは隣人になり、相手のために、心から何かをすることができるのです。もし、涙が出ないというならば、「人の苦しみに涙できるやさしさをわたしに下さい」と神様に願いましょう。涙を流す人とともに泣くとき皆さんはその人の隣人です。そして涙が流れるならば、できないと思っていたことがその人のために心からできるようになります。ですので、自分から隣人になれるように、ともに涙を流すことを学びましょう。
 さあ、今学期は、高校3年生にとっては実質的に最後の学期と言えます。自分の目標に到達するまで、仲間とともに、ラストスパートを力強く走りきってください。高2以下の皆さんには様々な行事が控えています。今週末のオープンスクールでは、皆さんの姿を見て、ご来場の皆さんがFor Others, With Othersの精神を感じていただけたら素晴らしいです。それに続きキャリアデーがあり、一月後の中間考査が終わると文化祭、高2の修学旅行、中3の語学研修と目白押しです。どの行事もともに涙を流すことを学ぶ場になります。息をするが如く隣人になり、人のために心から何かをできるように、今日からの2学期を過ごしてまいりましょう。