上智福岡中学高等学校

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2023年3月18日

2022年度終業式 校長訓辞

皆さん、おはようございます。長かったような、あっという間だったような一年が終わろうとしている今日を、皆さんはどのような気持ちで迎えていることでしょうか。私は校長としての初めての一年が今日無事に終われることにほっとしていると同時に、多くの方々のお世話になったことへの感謝の気持ちでいっぱいです。


さて、今年の学校目標は「関わる」でした。今年度を始めるにあたり、皆さんには「たくさんの関わりを通して、この学校で自分が輝ける場所を見つけていきましょう」とお話をしました。毎日の授業にきちんと関われたならば皆さんの顔はいつも輝いていたことでしょうし、関わらなかった人の顔色は先生方の目には曇って見えていたことでしょう。積極的に関わった人の中にはひときわ輝けたシーンもあったことでしょう。たとえば、各学年ではスピーチや暗唱のコンテストがありましたね。SFOでも、各学年で様々な発表の場がありました。シャトルランコンテスト、計算コンクール、漢字検定、英検、GTEC、中には数学オリンピックに出場した生徒もいました。毎週月曜日には、部活などの大会やコンテストの表彰をたくさんさせていただきました。文化祭、体育祭で頑張れた人もいたことでしょう。皆さんはいかがでしたか?


さらに、もう一つお願いしたことを覚えていますか。中学生の皆さんには「この1年全員が、気持ちよく過ごせる学校を作ってください」とお願いしました。どんなことができたでしょうか。人に迷惑をかけない、ちょっかいをかけない、悪口を言わないと言ったことは言うまでもないどころか、これは人と関わりさえしなければ達成できますから、上智福岡生としては正直物足りないですね。イエス様は「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなた方も人にしなさい」(マタイ7.12)と言われます。優しい前向きな言葉かけとか、皆さんがされたらうれしいちょっとした気配りができましたか。あるいは自分の話や発表を友達が一生懸命に聞いてうなずいてくれたり、ドキドキしながらやったことに「よかったよ」とか「ありがとう」と言ってくれるだけでも、その場の居心地の良さがぐっと変わりますよね。人にしてもらいたいことや、されてうれしかったことを自分も人にしてあげられたかを少し振り返ってください。

一方、高校生の皆さんには「よりよい世界づくりに貢献するために自分できることをこの1年見つけよう」とお話ししました。私は、皆さんがこの学校に入ってから身体的にだけでなく、精神的にも明らかに成長していることを日々感じています。私はここ十年以上、掃除の時間は中3の生徒とともに1階の階段を清掃しています。毎年「いいなぁ」思うのは、中3になりたての頃は「掃除当番になったら損」と思っていた生徒が、不思議と中3を終えるころには淡々とするようになることです。たまたま今年卒業した74期生は、77期生が中1の時から高校棟1階に入ることになったため、中3,高1と続けてともに掃除をすることになりました。すると、高1ともなると「ここは自分が責任をもってやらなければだれも掃除をしない」という自覚と使命感の芽生えが感じられました。たまに用事でわたしが行けなくても掃除が終わっているのです。人は生まれ持って人のために働こうとする力が備わっているとわかります。実は、人のためにすることの多くは苦労はすれども人目に付きません。掃除一つとってみても、しなければ汚れが目立ち気づかれますが、責任をもって気持ちのよい環境を周りに提供しても、その苦労はなかなか気づかれません。このように人のために何かをすることはある意味で損なのです。ところが高校生の皆さんは次第にこれは決して損ではなく、人知れず人の役に立つ喜び、やりがいとなることが分かってきていると思います。例えば、今年度の体育祭や文化祭は大変素晴らしいものでしたが、その裏には皆さん一人ひとりの大変な苦労があったはずです。しかし、本番当日みんなの喜ぶ姿を見たときに、苦労をした人ほど、その苦労を補ってなお余る達成感とやりがいを感じたことでしょう。


高校生の皆さんには「よりよい世界づくりに貢献するために自分できることをこの1年見つけよう」とお話ししました。今自分に何ができるかわからない人が多いことでしょう。しかし、私たちが生きる世界の現実をくまなく見られたとしたら、必ずそこには高校生の皆さんの助けを待っている人がいるのに気づくはずです。ですから、より外の世界に目を向けてほしいものです。更に、勉強して大学で力を付け社会人となる時にはその力で助けられる人や解決できる課題はもっと増えます。言うまでもなく、その方々のために働くときには大変な苦労が伴うことでしょう。でも、皆さんならそれが達成感、やりがいとなって返ってくることを知っているはずです。明日からの春休みにはカンボジアステディーツアーに行く人もいます。上智大学でのSDGsアイデアソンや、ISLFやYCCに参加する人もいます。これからも授業とこのような体験を通してありのままの世界の現実に触れ、より良い世界づくりのために「自分がやらねば」と思えることを見つけていってください。

それでは、この一年間皆さんよく頑張りました。楽しく充実した春休みを過ごしてください。4月に更に成長した皆さんに会えることを楽しみにしながら私の話を終わります。